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バカとテストと召喚獣 12巻(最終巻) 感想 「明久の成長と恋の行方」

 ついにバカとテストと召喚獣(以下バカテス)が完結した。短編集を合わせると17巻にも及ぶ。これまで追ってきた身としては感慨深いものがある。

 

 

 

 通常、ライトノベルというものは教育的意味を内容に含ませているものが多い。SAOであれば命とは何か?という生命倫理の問題が根幹にあるだろうし、はがないの場合は真の友情関係とは何か?ということだろう。俺妹があのような終わり方をしたのも、教育的配慮だということができよう。

 一方、この作品にはそのような教育的意味が存在しない。人を特に意味もなく殴り、処刑する。しかし、それだからこそこの作品はすばらしいのだ。ギャグに特化したからこそ、唯一無二の作品として、トップに君臨できたのだろう。

 この巻はA組とF組の対戦後、2年生対3年生の対決の後半だ。前巻で、圧されていた二年生がいかにして三年生に立ち向かうか。そのような方法は通常は存在しない。相手は点数がだいぶん上で、しかも召喚獣の扱いに長けているのだ。しかし、根気と無茶で彼らは逆境を覆していく。

 高城先輩を倒す時でさえ、最後まで姑息な手段を用いた。これこそが明久であり、バカテスだと思う。

 そして、恋の決着。明久は姫路さんを選ぶ。しかし、学園長の粋な計らいによってふたたび友達の関係に戻ってしまう。最後の最後まで落とす、それがバカテスだ。その後、どちらと恋人関係になったのかは誰もわからない。誰かを決めるのが不通となっている中で、この作品はあいまいなままで終了させた。本来ならうまくいくものではないが、きれいにやってのけた作者に敬意を表したい。

 あとがきに、もともと姫路さんが圧勝だったが、美波が1巻のときに比べるとずいぶんと追い上げたということが書いてある。振り返ってみたら確かにその通りだ。この文章を読んだ瞬間、すんなりと頭の中に入ってきて、バカテスの一部と化した。あとがきまでが、バカテスなのだと強く感じた。

 井上堅二先生の次回作に期待しよう。