とあるライトノベル読みの感想ブログ 

ライトノベルの感想をgdgdと書いていくブログです

緋弾のアリア 16巻 感想 「仲間と信頼」

 いよいよ緋弾のアリアに「やがて魔剱のアリスベル」の主人公とヒロインが参戦した。

 

 

 この作品ではテーマは一貫して仲間であう。仲間を信じること、仲間を助けること。それは決してノーリスクなものではない。

 いきなりジャンヌの裏切りにあいキンジはピンチに陥る。しかし、ジャンヌを疑うことを決してしようとはしない。結局、ジャンヌが裏切り者ではないことが判明する。師団の直感は外れたのだ。

 師団から裏切り者の罪を被せられ、キンジは逃走する。その道中にリサという少女と一緒になり逃避を始める。主人公はリサを仲間だと思ったら、疑うことをしなかった。結局、リサはジェヴォーダンになってキンジを襲うことになる。しかし、キンジはそれでもリサのことを信じた。ミサイルが打ち上げられ、空中戦をしているときにも、幾分信じて行動していた。その結果、キンジは助かったのだ。

 仲間を最後まで信じ切ったキンジが最終的にはよい結果を生み出すことができた。そして、彼は仲間を救出するために敵地に乗り込んでいく。

冴えない彼女の育て方 5巻 感想 「ゲームを製作するということ」

  いよいよこの作品も5巻になった。作中でのゲーム製作に合わせて物語が進行しているので、あまり先が長くないかもしれない。

 

 

 

 ゲームを製作することは、ヒロインたちにとって、主人公に思いを伝える勇逸の手段なのだろう。この作品のヒロインは全員とっても不器用だ。これでは、倫也が思いに気づかなくても無理はない。そんな引っ込み思案なヒロイン達でも、絵や文字という形では思いを乗せることができるのだ。

 今作、倫也は詩羽先輩のシナリオをゲームにそぐわないという理由でコテンパンに叩きのめす。詩羽先輩のアイデンティティを全否定する。そこでふつうは投げ出すだろう。しかし、詩羽先輩は投げ出すことができないのだ。シナリオを作ることでしか、感情を発現できないから。

 そして、詩羽先輩は再度書き直し、瑠璃と巡璃どちらのルートがいいかを尋ねる。瑠璃に対して詩羽先輩が自分を重ね合わせていたのは、今までの伏線を見る限り自明だ。しかし、倫也は結論を出さず、第三のルート製作を決定する。結論は引き伸ばされた。

 詩羽先輩は英梨々と一緒に、加藤恵に瑠璃の格好をさせる。おそらく詩羽先輩は瑠璃と決別したのだ。もう詩羽先輩は立ち止まる気がないのだろう。決着が近いのかもしれない。

クロックワーク・プラネット 2巻 感想「ディストピアSFにおける解決策」

 「ノーゲーム・ノーライフ」の作者榎宮先生他が合作で書いている作品。作品の雰囲気もかなりノゲノラに近い。

 

 

 歯車のみに全てをゆだねた地球のお話。しかし、主人公を含め、ごく一部の人はこの世界がそう長く持たないことを知っている。まさにディストピアSFといったところだろう。

 今作でマリーは「私たちは正義の味方ではなく、テロリストだ」と言う。正義の味方を名乗るのは結構だが、それで問題が解決するわけではない。だったら、この身をやつしてでも世界を救おうと主人公たちはするのだ。失敗したらテロリスト、しかし、成功したら革命者であり世界の救世主である。現代史にどっちでナオトは名を残すのだろうか。できれば、後者であってもらいたいものだ。

 だが、主人公がYと同等なのであるとすれば、向かう先は、排除されてしまう運命なのかもしれない。力のあるものはいつの時代であっても忌み嫌われるのだ。

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 8巻 感想「真の関係、欺瞞の関係」

 このラノ一位。もっとも、本人は嫌がっているようだが。

 

 

 

 この作品で描きたいことは何か?あくまで友情なのだと私は思う。恋愛を超えて友情を構築できるか、それをとことんまで真剣に描いていきたいと感じる。だから、比企谷八幡のラブコメは間違っているのだ。

 今作、いろはが奉仕部に対して、生徒会長になるのが嫌だということで依頼を持ちかけてくる。奉仕部はそれを受諾する。雪乃は消極的にもその依頼を受けた。しかし、それは本当に不本意だったのだろうか。

 雪乃はいろはの依頼を達成しようと、自分が生徒会長になるために活動する。しかし、結衣と八幡はそれが最善策だとは思わずに、別の方法を模索する。その奥にあったものは、間違えなく雪乃がいなくなると奉仕部がなくなり、その関係が崩れると思ったことだ。そのために二人は別々に行動する。一方、雪乃は奉仕部という存在がなくなっても真の関係ならば問題ないと考えていた。しかし、結衣と八幡はそのことを理解してくれない。誰がいったい奉仕部をそんなに求めているのか。そして、八幡の目論見が成功する。結果、雪乃は生徒会長にはなれなかった。雪乃の目論見は2人には理解してもらえなかったのだ。3人の関係に亀裂が走る。それでも、居心地がいいから、欺瞞の関係を3人は続けていく。

ノーゲーム・ノーライフ 5巻 感想「弱さを知ること、知識を得ること」

 アニメ化決定済み。身体能力ではかなわない天翼種にどのようにして立ち向かうのか。

 

 

 今作は、主に鬼ごっこと4巻の続きである恋愛趣味レーションをもとにしたゲームで主人公たちは戦った。

 明らかに自分のスピードではかなわない天翼種に対して、真っ向から鬼ごっこを挑む空と白。しかし、二人の知能と連係プレーがある限り、敗れることはない。相手との絶対的な差。それは弱さを理解していることと知識である。エルヴン・ガルドにはない戦闘機の動きを模倣して空と白は攻撃を回避していく。そして、二人が手をつないでいるだけで意思疎通することが可能だと判明した。

 海棲種を起こす条件は、ののしること。恋愛を理解できない主人公にしかできないことだった。条件をクリアーして、海棲種の駒を手に入れる。が、吸血種が罠を張っていた。嘘を一切つかないミスディレクションだ。ミステリーで非常によく用いられる手段だが、4巻からきちんと伏線を張り巡らされており、一切気づかなかった。

 空は最後に惚れ魔法を自分に使わせる。しかし、何も変化しない。それを見て、白は顔が赤くなる。空が無意識化で白のことが好きであるというのを理解したのだ。人の感情変化に異常に疎い白が人の感情を理解した。白は着実に進歩している。それを知って、空はどう思うのだろうか。

バカとテストと召喚獣 12巻(最終巻) 感想 「明久の成長と恋の行方」

 ついにバカとテストと召喚獣(以下バカテス)が完結した。短編集を合わせると17巻にも及ぶ。これまで追ってきた身としては感慨深いものがある。

 

 

 

 通常、ライトノベルというものは教育的意味を内容に含ませているものが多い。SAOであれば命とは何か?という生命倫理の問題が根幹にあるだろうし、はがないの場合は真の友情関係とは何か?ということだろう。俺妹があのような終わり方をしたのも、教育的配慮だということができよう。

 一方、この作品にはそのような教育的意味が存在しない。人を特に意味もなく殴り、処刑する。しかし、それだからこそこの作品はすばらしいのだ。ギャグに特化したからこそ、唯一無二の作品として、トップに君臨できたのだろう。

 この巻はA組とF組の対戦後、2年生対3年生の対決の後半だ。前巻で、圧されていた二年生がいかにして三年生に立ち向かうか。そのような方法は通常は存在しない。相手は点数がだいぶん上で、しかも召喚獣の扱いに長けているのだ。しかし、根気と無茶で彼らは逆境を覆していく。

 高城先輩を倒す時でさえ、最後まで姑息な手段を用いた。これこそが明久であり、バカテスだと思う。

 そして、恋の決着。明久は姫路さんを選ぶ。しかし、学園長の粋な計らいによってふたたび友達の関係に戻ってしまう。最後の最後まで落とす、それがバカテスだ。その後、どちらと恋人関係になったのかは誰もわからない。誰かを決めるのが不通となっている中で、この作品はあいまいなままで終了させた。本来ならうまくいくものではないが、きれいにやってのけた作者に敬意を表したい。

 あとがきに、もともと姫路さんが圧勝だったが、美波が1巻のときに比べるとずいぶんと追い上げたということが書いてある。振り返ってみたら確かにその通りだ。この文章を読んだ瞬間、すんなりと頭の中に入ってきて、バカテスの一部と化した。あとがきまでが、バカテスなのだと強く感じた。

 井上堅二先生の次回作に期待しよう。

天鏡のアルデラミン 感想「従来のファンタジー戦記との違い」

 既刊4巻までの感想を従来のファンタジー戦記と比較して述べていく。

 

 

 まず、これは最近のファンタジー戦記全般にいえることだが、女性が戦うことについてまったく違和感が存在しないことである。例えば、90年代のファンタジー戦記である「デルフィニア戦記」などでは、女性は守られる存在であり、そこを打破することが物語の一端を担っていた。一方、天鏡でヤトリが県をふるっていることを当然のものとして登場人物は甘受しているのだ。これは、現代において、女性が社会進出することで女性の社会的地位が相対的に上昇したことが理由として述べられると思う。男女が並んで戦うことが普通となったのだ。

 それにとどまらず、今作は女性であるヤトリが前衛、男性であるイクタが後衛で戦略を練っている。これはライトノベルにしては非常に珍しい。ライトノベルは主人公に感情移入するように書かれることが多いので、主人公が戦わないものでは爽快感を得られにくいからだ。イクタはそもそも剣を持って戦う気がなく、親指さえ残っていれば構わないと、3巻で交渉のために小指を切ってしまう。

 負けるために戦う主人公とシャミーユ。目的を達成したとき、引き起こされるのは皇室の消滅だ。シャミーユは処刑されるだろう。これを避ける術は存在するのだろうか。また、ヤトリは国家を守るためにイクタと戦うことも辞さないと言っているが、果たしてその時になったらどうするのだろうか。